独りの部屋
ただいま。そう小声で呟く。手には帰り道買った惣菜の袋。それを持っていない方の手で照明を点ける。
台所と一間、それと小さな風呂が付いた狭い部屋は、朝方慌てて飛び出した状態でその温度を失っている。
なんとも、寂しい。
別に家財が少ないからそう感じるのでは無い。きっとこの部屋には寂しさの化身みたいなモノが住み着いているのだ。
灯火。行き先を示すもの。私の人生のそれは遠い昔に失われた。己で考え決断し、その結果を受け止めること。ごく当たり前のことが私には難しかった。私は独りになったその時から、ただ生きてるだけになった。
辛い。そう小声で呟く。
自分独りだけの部屋。もとい人生。
その言葉を聞くものは、己以外他無いのに。

